雪国の玄関口で癒しと文化を味わう——越後湯沢温泉(新潟県湯沢町)
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新潟県南魚沼郡湯沢町にある越後湯沢温泉。筆者はこれまでに複数回この地を訪れている。最初の訪問は真冬の1月、雪に包まれた正月休みの連休中だった。思い立って北陸新幹線に乗り、東京から日帰りで越後湯沢へ。これが大当たりの旅となった。
雪景色とぽんしゅ館の衝撃 #
越後湯沢駅に着いてまず驚いたのは、駅構内にある「ぽんしゅ館」の存在だった。新潟県内各地の日本酒を試飲できる施設で、酒好きにはたまらない空間。多くの観光客が立ち寄る人気スポットで、地酒文化をカジュアルに楽しめる仕組みが整っている。
さらに駅ナカには日帰り温泉施設も併設されており、到着してすぐ、あるいは帰る前にも気軽に温泉に浸かることができる。これほどアクセスと利便性の良い温泉地は他にそう多くないだろう。
そして何より印象的だったのが、その雪景色だ。豪雪地帯ならではの積雪は「雪国」という文学的な言葉がそのまま現実になったような光景であり、川端康成の『雪国』の舞台としての越後湯沢を実感できる情景だった。
NASPAで宿泊、疲れを癒す湯 #
再訪時には『NASPAニューオータニ』に宿泊した。このときは仕事終わりに東京駅から直行し、夜に越後湯沢入りするという強行スケジュール。新幹線に揺られながら少しずつ気分を切り替え、ホテルに着いてから温泉にじっくりと浸かった。
泉質自体はそれほど強烈な特徴は感じなかったものの、湯あたりせず、身体にじんわりと効いてくるやさしい湯だった。仕事の疲れをリセットするには十分な温泉であり、湯上がりには肩の力がふっと抜けるような感覚があったのをよく覚えている。
越後湯沢という温泉地の魅力 #
越後湯沢は、アクセス性、観光、温泉、文化、雪景色のすべてがコンパクトに詰まった温泉地だ。駅から徒歩圏内で十分に楽しめるのに、満足感は非常に高い。特に冬のシーズンには、温泉と雪景色の両方が体験できる贅沢な空間が広がっている。
温泉街としての華やかさよりも、駅前中心に洗練された観光インフラが整備されている印象で、観光客も多く、賑わいがあるが、どこか落ち着いた雰囲気も感じさせる。
越後湯沢温泉は、まさに“雪国の玄関口”と呼ぶにふさわしい。思い立ってふらっと訪れても、文化・景色・温泉すべてが受け止めてくれる、懐の深い温泉地である。