メインコンテンツへスキップ

もうもうと湯けむる98℃の源泉と静かな街並み——湯村温泉(兵庫県新温泉町)

兵庫県美方郡新温泉町にある湯村温泉。筆者は日帰りでこの地を訪れ、外湯「薬師湯」に浸かった。記憶は曖昧ながらも、清潔感のある館内と、温泉街全体の雰囲気の良さが印象に残っている。

清潔感のある外湯「薬師湯」 #

今回利用したのは、湯村温泉を代表する外湯「薬師湯」。細かい湯の特徴までは思い出せないが、内装が新しく、清潔で好印象だったことをよく覚えている。

湯気の立ちこめる荒湯の風情 #

湯村温泉のハイライトといえば、なんといっても「荒湯」だ。摂氏98度の高温源泉からは、もうもうと湯気が立ちこめ、温泉地らしい雰囲気を演出している。街の中心にある荒湯の景色は、まさに湯村温泉の顔とも言える存在だ。

この荒湯では、温泉卵(湯がき卵)を作ることもできる。筆者も例に漏れず、卵を湯がいて味わった。湯気に包まれて食べるその体験は、旅情をさらに深めてくれる。

アクセスは緊張感すらある体験 #

そもそも、湯村温泉の最寄り駅であるJR山陰本線・浜坂駅にたどり着くこと自体がやや難易度が高い。鳥取や島根方面へ旅行するような“物好き”な旅行客でなければ、なかなか通らないルートであり、他の目的と絡めづらい立地にある。筆者はその浜坂駅で下車し、そこからバスで湯村温泉を目指した。

また、このバスもなかなかの曲者だった。観光地のシャトルバスや路線バスを想像していたところ、実際にはハイエースのような車両で運行されており、地元のコミュニティバスといった雰囲気。乗客も地元の方ばかりで、バス停の案内もほとんどない。降りたい場所に近づいたら、自分で運転手に声をかけるという完全マニュアル方式。地図とにらめっこしながら、緊張感を持って目的地にたどり着いたのをよく覚えている。

温泉街としての魅力 #

湯村温泉の街並みは、規模こそ有馬温泉や城崎温泉ほど大きくはないが、風情は十分にある。観光客向けの店舗はそこまで多くないものの、落ち着いた空気の中で温泉街の魅力をしっかり味わえる。過度に観光化されすぎていない分、素朴な味わいが残っており、それがまた魅力の一つだ。

湯村温泉は、派手さや規模の大きさではなく、温泉地らしい雰囲気とゆったりとした時間を提供してくれる場所。荒湯の湯気に包まれながら過ごすひとときは、まさに“温泉に来た”という実感を与えてくれる旅となった。