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もうもうと湯けむる98℃の源泉と静かな街並み——湯村温泉(兵庫県新温泉町)

もうもうと湯けむる98℃の源泉と静かな街並み——湯村温泉(兵庫県新温泉町)

··1435 文字·3 分

兵庫県美方郡新温泉町にある湯村温泉(ゆむらおんせん)。日帰りでこの地を訪れ、外湯『薬師湯』に浸かった。清潔感のある館内と、温泉街全体の雰囲気の良さが印象に残っている。

兵庫県には全国的に有名な有馬温泉(ありまおんせん)や、浴衣で練り歩く温泉街の情緒がある城崎温泉(きのさきおんせん)など、著名な温泉があるため、湯村温泉はあまり知られていないと思うが、温泉街として観光出来る立派な街並みがあり、98℃の高温源泉から湯気が立ち込める荒湯の風景は、温泉情緒のある素晴らしい体験だった。

なお、有馬温泉や城崎温泉を訪問した際の記事はこちらから。

薬師湯と荒湯
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湯村温泉ではまず、公衆浴場の薬師湯を訪問した。和風建築の近代的な建物で、館内は広め。観光客向けに建てられた建物のようだった。古くからある温泉地では、地元客向けの共同浴場を期待していたため、少し残念であった。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉であり、無色透明で刺激が少なく、石鹸の泡立ちが良い温泉とされる。

薬師湯での入浴を終えて次に向かったのは、湯村温泉のハイライトと言える、『荒湯』(あらゆ)である。98℃の高温源泉からは、もうもうと湯気が立ちこめ、温泉地らしい雰囲気を演出している。街の中心にある荒湯の景色は、まさに湯村温泉の顔とも言える存在だ。

荒湯

この荒湯では、温泉たまごを作ることもできる。私も例に漏れず、荒湯で温泉たまごを作り味わった。湯気に包まれて食べるその体験は、旅情をさらに深めてくれる。

アクセスは緊張感すらある体験
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湯村温泉は源泉も良く、温泉街として散策もできる良い温泉地であるが、中々知名度が高くないのが惜しい所である。その理由の1つとして、そもそも、湯村温泉の最寄り駅であるJR山陰本線・浜坂駅にたどり着くこと自体がやや難易度が高い。鳥取や島根方面へ旅行するような物好きな旅行客でなければ、なかなか通らないルートであり、他の目的と絡めづらい立地にある。

浜坂駅

浜坂駅で下車すると、湯村温泉と浜坂温泉郷の歓迎看板が現れ、気分を盛り上げてくれるが、湯村温泉への旅路はまだ先であり、浜松駅から湯村温泉へはバスで向かわなければならない。

また、このバスがなかなかの曲者だった。観光地のシャトルバスや路線バスを想像していたところ、実際にはハイエースのような車両で運行されており、地元のコミュニティバスといった雰囲気であった。乗客も地元の方ばかりで、バス停の案内もほとんどない。降りたい場所に近づいたら、自分で運転手に声をかけるという完全マニュアル方式だった。Google Mapで自分の現在地を確認しつつ、湯村温泉最寄りと思われるバス停で、運転手に声を掛けて降りるという、緊張感を抱いた旅路だった。

温泉街としての魅力
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湯村温泉の街並みは、規模こそ有馬温泉や城崎温泉ほど大きくはないが、風情は十分にある。観光客向けの店舗はそこまで多くないものの、落ち着いた空気の中で温泉街の魅力をしっかり味わえる。過度に観光化されすぎていない分、素朴な味わいが残っており、それがまた魅力の一つだ。

湯村温泉は、派手さや規模の大きさではなく、温泉地らしい雰囲気とゆったりとした時間を提供してくれる場所。荒湯の湯気に包まれながら過ごすひとときは、まさに温泉に来たという実感を与えてくれる旅となった。

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