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塩素の香りが苦い記憶に残る——こんぴら温泉(香川県琴平町)

塩素の香りが苦い記憶に残る——こんぴら温泉(香川県琴平町)

··1853 文字·4 分

初めての四国旅行。せっかくならと「温泉むすめ」でも知られるこんぴら温泉に泊まってみようと思い、香川県金刀比羅宮(ことひらぐう)近くにある、こんぴら温泉を訪れた。金刀比羅宮も観光できるし、香川県で有名なうどんも食べられるし、温泉に浸かれるなら最高の旅になると期待していた。

だが、結果として、この旅の温泉体験は強烈な塩素臭と共に記憶に焼きつくものとなった。

温泉街に漂うまさかの消毒臭
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宿泊先に選んだのは『こんぴら温泉湯元八千代』。ゴールデンウィーク時期であり、選べる宿が限られていた。JR琴平駅や琴電琴平駅、金刀比羅宮の近くにあり、観光には利便性の高い場所だった。チェックイン後、さっそく浴衣に着替えて浴室へ向かった。そこまではワクワクしていた。

しかし、浴室に入った瞬間、鼻を突くキツい塩素の臭いが空気中に広がっていた。プールや公共浴場で感じるような消毒臭が、強烈に漂っていた。源泉掛け流しでないことは想定内だったが、我慢して入るレベルの臭気は完全に予想外だった。

湯船に浸かっても、塩素臭から逃れられなかった。湯上がり後もしばらく身体に臭いが染みつき、夕食を食べながらも頭痛を覚えるほどだった。これまで全国の温泉地を巡ってきたが、ここまで強烈な塩素臭を感じたのは初めてだった。一応の泉質は炭酸水素塩泉だが、塩素臭があまりにも強く、入浴中は泉質を感じるどころではなかった。

また、宿には屋上露天風呂があるが、訪問した際は一部工事中のせいか、建築資材等が端の方に置きっぱなしになっていた。このことも温泉体験にとってマイナスのイメージであった。

手狭な部屋と豪華な食事
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部屋自体も正直、民宿や安宿を除けば、今まで経験したことが無いほど狭く、GW期間中とは言え、当時は一泊二食付きで14,000円(当時)というのは割に合わないなと感じた。全体的に施設の設備も古い。

部屋

夕食は部屋食ではなく、会場で食事をするタイプであった。バイキング等ではなく、会食のタイプ。海鮮や肉の陶板焼き、炊き込みご飯など、豪華な食事であった。また、ご飯のおかわりに快く対応してくれるなど、接客については温かみが感じられた。その分、部屋の狭さや温泉の質、そしてコストパフォーマンスが残念に思えた。

夕食

温泉宿では、夕食は豪華でも朝食は質素なパターンがあるが、この旅館では朝食も品数が多く、手が込んでいた。そこは満足できるポイントだろう。

朝食

宿の問題ではなく地域ぐるみの問題かもしれない
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強烈な塩素臭については、訪問したその日だけ消毒剤の量を間違えたなど、一時的なミスかとも思ったが、夜に温泉街を歩いていて驚いた。排水溝から立ち上る塩素臭が、街全体に広がっていたのである。つまり、特定の宿だけでなく、温泉街全体が“塩素に依存した衛生管理”を行っている可能性が高いと感じた。

もちろん、塩素消毒そのものを否定するわけではない。安全のために必要なケースもあるし、他の温泉地でもそれは許容してきた。しかし、身体に臭いが残るレベル、頭痛を引き起こすレベルの消毒臭は異常であり、何らかの管理ミスが常態化している可能性もあると感じた。

温泉以外の観光
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一方で、温泉から離れて観光すれば、素晴らしい観光地であるのは間違いない。まず、香川県と言えばうどんが有名であるが、こんぴら温泉内にも、美味しいうどん屋はある。私が訪問したのは『宗家 金毘羅饂飩 狸屋』という店で、温泉宿から歩いてすぐの所である。

うどん屋

食べたのは『ぶっかけうどん大』で、コシが強く、ゆずしょうがの香りが利いており、非常に食欲をそそる、美味しいうどんであった。

うどん

また、こんぴら温泉の名の通り、金比羅山(こんぴらさん)が有名であり、私も観光がてら訪れた。山を登り寺を訪問すると、身も心も引き締まる思いがした。

金比羅山

温泉目的で訪れる人にはおすすめしない
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正直、温泉目当てでこんぴら温泉を訪れることは、おすすめできない。観光やうどん目当てで、ついでに泊まるというのであれば構わないが、「良質な湯を楽しみたい」「温泉に癒されたい」という目的では満足できないと思う。

こんぴら温泉は残念な体験であったが、温泉不毛の地・四国においても、お勧めの温泉はいくつかある。香川県高松市にある仏生山温泉(ぶっしょうざんおんせん)や、徳島県三好市にある祖谷温泉(いやおんせん)がお勧めであり、訪問記はこちらから。

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