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重厚な旅館建築と飲泉所が点在する松の湯——浅虫温泉(青森県青森市)

重厚な旅館建築と飲泉所が点在する松の湯——浅虫温泉(青森県青森市)

··1358 文字·3 分

陸奥湾の穏やかな海を望む青森の奥座敷、浅虫温泉。駅前の近代的な施設を通り過ぎ、一歩路地へと踏み入れば、そこには古き良き温泉街の静謐な時間が流れている。今回は、歴史を刻む旅館『辰巳館』と、地元の生活が息づく共同浴場『松の湯』」という、浅虫温泉の二つの施設をハシゴした。

なお、同じ青森県にある酸ヶ湯温泉(すかゆおんせん)も訪問しており、訪問記事はこちらから。

老舗・辰巳館が放つ木造建築の重厚感
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辰巳館

浅虫温泉における老舗旅館の一つ、『辰巳館』の建築様式は印象的である。館内に一歩足を踏み入れると、近年の建物にはない木造特有の重厚感が漂い、この温泉地が積み重ねてきた時の厚みを感じさせる。

浴場は、広々とした造りの岩風呂の内湯と、道路に面した露天風呂で構成されている。本施設の日帰り入浴レビューについては、以下記事を参照のこと。

松の湯の熱き透明湯との対話
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松の湯

続いて訪れた松の湯は、辰巳館とは対照的な、昔ながらの公衆浴場である。浴場は手狭でシャワーと内湯のみという素朴な造りだが、地元客に親しまれてきた温泉らしい落ち着いた雰囲気がある。

泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉で、色は無色透明である。源泉100%掛け流しの熱湯が特徴である。訪問時は幸運にも貸切状態であり、熱い湯に浸かっては湯船の縁で涼み、再び湯に浸かるという時間を繰り返した。静かな浴場で湯と向き合う体験は、大型施設では味わえない、公衆浴場ならではの魅力であった。

松の湯の詳しい施設情報や入浴時の様子、料金・アクセスについては、以下の記事で紹介している。

観光客にこそ歩いてほしい路地裏の魅力
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松の湯の周辺には、浅虫温泉の奥深い魅力が凝縮されている。飲泉所では新鮮な源泉を口にすることができ、さらに温泉たまごを自ら茹でることができる場所も設置されている。

飲泉所

上図の立札を見ると、近くの八百屋等で生卵を購入し、下図のたまご場(網の下)で、温泉たまごを作るようだ。普通、観光地の温泉では、温泉たまご自体が売っているか、土産物屋で生卵を少し高めで売り、観光客が温泉卵を作るというパターンが多いように思える。普通の八百屋(スーパー)で生卵を買って温泉たまごを作って良いとは、商売っ気の無さに東北らしいなと感じた。

温泉たまご

こうしたスポットは、駅周辺の賑わいだけを見て帰ってしまう観光客にはなかなか気づかれないかもしれない。しかし、共同浴場の熱い湯に浸かり、湯上がりに温泉たまごを待ちながら街の空気に触れることこそが、浅虫温泉の真髄であると感じた。地元客が守り続けてきたこの素朴な界隈へ、より多くの旅人が足を伸ばし、その情緒を肌で感じてほしいと願わずにはいられない。

まとめ
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浅虫の湯は、さらりとした透明な見た目とは裏腹に、身体の芯をしっかりと捉える確かな熱を持っていた。辰巳館の重厚な佇まいと、松の湯の飾らない日常。二つの異なる湯船を巡ることで、浅虫温泉という街が持つ多層的な魅力を「踏破」することができた。海を望むだけではない、この街の「熱」は、今も肌の奥に心地よく残っている。

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