落ち着きと高級感のある海辺の湯処——夕日ヶ浦温泉(京都府京丹後市)
目次
京都府北部、日本海沿いに位置する夕日ヶ浦温泉。筆者は日帰りで「夕日ヶ浦温泉 花ゆうみ」という温泉施設を訪れた。宿泊こそしなかったが、その高級感あふれる温泉地の雰囲気と施設の趣深さは、今も印象に残っている。
清潔感と風情が共存する「花ゆうみ」 #
利用した「花ゆうみ」は、清潔感のある日帰り温泉施設で、当日もそこそこ混雑していた。特に印象に残っているのは、露天風呂の近くに人工的な滝が設けられていたことだ。自然の川や滝を借景とする露天風呂はこれまでも経験してきたが、人工滝を設けた庭園風の露天風呂は初体験だった。
人工物であるにもかかわらず、滝の水音と風景が心を落ち着かせ、風情をしっかり感じられた。設備の作り込みや雰囲気の演出には、しっかりとした設計意図が感じられた。
鉄道で訪れる“非日常” #
夕日ヶ浦温泉には、京都丹後鉄道を利用してアクセスした。最寄り駅は「夕日ヶ浦木津温泉駅」で、そこから徒歩で「花ゆうみ」へと向かった。日帰り温泉施設に公共交通機関と徒歩で向かうスタイルは、自家用車移動が多いこの種の旅としてはやや珍しく、印象に残るアプローチとなった。
高級感漂う温泉街のたたずまい #
夕日ヶ浦温泉の街並みは、一見して「高級志向の隠れ里」といった雰囲気を醸していた。一棟貸しの温泉宿も多く、全体として格式高い温泉地としての空気が漂う。その分価格帯も高めではあるが、「いつか泊まりたい」と思わせるような、落ち着きと品のあるたたずまいである。
また、この地方は丹後ちりめんという絹織物の産地としても知られており、筆者はその土産物を手に入れるために、東京から新幹線で京都まで移動し、そこから京丹後に直行した。金曜日の仕事終わりに即出発し、翌日は京都観光すらせずに帰るという強行スケジュールだったが、それほどまでに土産物が諸事情で必要だった、というだけの話である。観光と文化が調和した温泉地としての完成度の高さを感じた。
夕日ヶ浦温泉は、高級感を湛えた落ち着きある温泉地。日帰りでもその一端に触れられるが、次はぜひ一棟貸しの宿に滞在し、夕日の沈む海辺で非日常を満喫してみたい。