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十津川沿いに佇む硫黄香る源泉掛け流しの湯——湯泉地温泉(奈良県十津川村)

十津川沿いに佇む硫黄香る源泉掛け流しの湯——湯泉地温泉(奈良県十津川村)

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奈良県十津川村にある湯泉地温泉(とうせんじおんせん)を訪れた。ここは、静けさと本物の湯に出会える温泉地であり、私はこれまでに数回訪れている。訪れるたびに身体と心が整えられる、素晴らしい温泉であることは間違いない。湯治にも向いた温泉である。

十津川村といえば十津川温泉が有名だが、実はこの村内には大きく3つの温泉地がある。そのうちの1つがこの湯泉地温泉であり、もう1つは上湯温泉である。十津川温泉と上湯温泉の記事は以下に記してある。

湯泉地温泉の泉質は単純硫黄泉で、色は無色である。硫黄臭がしっかりと感じられ、まさに温泉に入っている気分に浸れる泉質だ。湯泉地温泉の泉質は十津川温泉とは異なっており、十津川村に来ると、同じ村内で異なる泉質の温泉を楽しめるという、贅沢な体験ができる。

具体的に日帰り温泉施設2つ、温泉宿1つを紹介する。

地元向けの静かな湯『泉湯』
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1つめに紹介する日帰り温泉施設として、『泉湯』が挙げられる。こぢんまりとした造りで、地元客向けという印象を受ける。値段も抑えめで、村外の人間でも600円。村民ならもっと安いようだ。

泉湯

内湯は適温で、じっくりと湯に浸かるには最適である。温泉成分が肌にまとわりつくような濃厚な感覚が心地よい。一方、露天風呂は川沿いの景色が開けていて気持ちが良いが、かなり熱めで入るのに少し躊躇した。

また、泉湯には湯上がり用の自動販売機などが見当たらず、飲み物を買いたい場合は事前に準備が必要だ。ちょっとした不便さもまた、地元密着型施設らしいといえばらしい。

観光客にお勧めする『滝の湯』
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もう1つの日帰り温泉施設である『滝の湯』は、泉湯よりも観光客向けの色が強い。入浴料は村外の人で800円と少し高めだが、それに見合うだけの設備と雰囲気が整っている。

滝の湯

露天風呂はこちらの方が趣があり、間近に川が見える上、川の流れがちょっとした滝のようになっていて、目にも耳にも心地よい。露天風呂の湯温もちょうどよく、周囲の自然と相まって、長湯してしまう。

さらに、館内には畳敷きの休憩所があり、湯上がりに牛乳やコーヒー牛乳を楽しみながらゆったりと過ごせる。食堂も併設されており、地元名物のダムカレーを味わうこともできる。

滝の湯 休憩所

これらの理由から、観光で十津川を訪れた人には、滝の湯を強くおすすめしたい。

宿泊は『温泉民宿かたやま』
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温泉民宿かたやま

湯泉地温泉で宿泊したのは、『温泉民宿かたやま』である。土日でも一人客が宿泊可能であった。昔ながらの家族経営の民宿で、内湯の泉質がとにかく素晴らしかった。まさに、じっくり浸かりたくなる湯である。しかも貸し切り状態で、気兼ねなくリラックスできた。

私見だが、こういった本物の温泉地にある家族経営の宿は、総じて満足度が高い傾向にある。湯船は小さめながら、1家族が一緒に入れるサイズ感で、貸し切りを前提に設計されているように感じる。システムは様々で、札をかけるタイプだったり、鍵をかける方式だったりするが、基本的には貸し切り文化が根付いている。

設備の新しさや利便性では大型宿には劣るかもしれない。しかし、湯の良さと静けさ、そして地元の人のぬくもりが感じられる宿泊体験は、何物にも代えがたいと感じる。

一泊二日でリーズナブルな価格であった。以下は夕食と朝食である。

夕食
朝食

湯泉地温泉という場所
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湯泉地温泉は、喧騒から逃れ、ただ湯に浸かるためだけに来る場所だ。観光スポット的な派手さはない。でも、この地に流れる時間と空気を肌で感じた人には、きっと忘れられない温泉になるだろう。

次はまた違う季節に訪れて、湯泉地温泉の別の表情を味わいたい。

なお、同じ奈良県にある洞川温泉(どろがわおんせん)も訪問している。訪問記はこちらから。

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