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ぬる湯とトロトロの美肌の湯——榊原温泉(三重県津市)

三重県にある榊原温泉を、筆者はこれまでに2度訪れたことがある。初回の訪問時期ははっきりとは覚えていないが、その印象はいまでも強烈に残っている。理由はただ一つ――**泉質がとにかく"とろっとろ"**なのだ。

湯船に浸かった瞬間にわかる"とろとろ感" #

最も印象に残っているのは、湯船に入った瞬間の感覚。まるで化粧水に全身を浸したような、滑らかでとろみのある肌触り。これが榊原温泉の大きな特徴であり、「美人の湯」として知られるゆえんでもある。

筆者が訪れたのは『湯元榊原舘 日帰り温泉 湯の庄』。ここは源泉掛け流しの湯を提供しており、特にぬるめの湯が素晴らしかった。ぬる湯は長湯にぴったりで、泉質の良さをじっくりと堪能できる――が、問題はその人気ぶりだ。ぬる湯の湯船は常に満員で、両隣や正面の人と膝が触れ合うほど。静かに湯に浸かりたい派にとっては、なかなかの修行かもしれない。

アクセスはやや難あり、車がベスト #

筆者は最初の訪問では公共交通機関を利用し、2回目は自家用車で訪れた。関西に転勤となったため、車でのアクセスがしやすくなったのは幸いだった。結論としては、車での訪問が断然おすすめである。公共交通機関でのアクセスはやや不便で、観光地というよりは地元の人が車で立ち寄る温泉地といった印象が強い。

温泉街というより点在型温泉地 #

榊原温泉には温泉宿がある程度立ち並んでいるものの、いわゆる「温泉街」のようなにぎわいはない。施設同士の距離もあり、徒歩で湯巡りを楽しむというよりは、車でそれぞれの宿や日帰り施設に向かう形になる。また、観光客向けの飲食店はほぼ存在しない。そのため、温泉と食事の両方を楽しむタイプの旅を期待すると、やや拍子抜けするかもしれない。

どんな人におすすめ? #

榊原温泉は、「とろとろの美肌の湯」を楽しみたい女性客や、「ぬる湯」を愛する温泉マニアにこそ強くおすすめしたい温泉地である。派手さや観光地らしさはないが、泉質そのもののクオリティは非常に高い。

地味で静かながら、湯の魅力でしっかりと勝負している榊原温泉。混雑覚悟でぬる湯に挑むもよし、とろとろの美肌湯で自分を労わるもよし――温泉本来の価値を味わいたい人にこそ、訪れてほしい場所である。