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琵琶湖を望む素晴らしい眺望と小さく映る歓楽街——おごと温泉(滋賀県大津市)

関西に住む人なら誰もが一度は耳にしたことのある温泉地、おごと温泉。だが、その知名度は少々歪な形で広まっている。おごと温泉は、歓楽街(というか風俗街)としての側面で知られ、今もなおそのイメージを引きずっている。関西在住者にとって、「おごと温泉に行った」という言葉には少なからず誤解がつきまとう。温泉を愛する者としては、このレッテルが悔しくもある。

実際に訪れたのは『湯元館』 #

そんな中、筆者が日帰りで利用したのは、おごと温泉の高級宿『湯元館』。施設自体は非常に立派で、館内の設備や雰囲気には申し分がなかった。特に印象的だったのは、展望風呂から眺める琵琶湖の風景である。静かに広がる湖面と空のグラデーションには癒しを感じる。

しかし、そこに少しだけ現実が入り込む。施設が山側にあるため視界が開けているのだが、その中にどうしても琵琶湖畔の歓楽街エリアが含まれてしまう。風景としては美しいが、背景を知っている者にとっては、どこか複雑な気分になる。

泉質は可もなく不可もなく #

温泉そのものの泉質については、正直に言って特筆すべきものは感じられなかった。極上の泉質を求めてわざわざ足を運ぶ温泉地かと問われると、少し答えに窮する。ただし、湯あたりはよく、じっくり長く浸かることが出来るので、地元の人が身体を休めるには最適である。

また、京都からのアクセスは良好であり、観光のついでに立ち寄るには便利な立地でもある。京都旅行の帰りにひと風呂浴びる、というスタイルなら十分選択肢に入るだろう。

一方で、温泉目的での旅行であれば、車移動ができる人には丹後半島の温泉地巡りを強くおすすめしたい。泉質、景観、静けさの三拍子が揃っており、温泉ファンの期待にも応えてくれるはずだ。

名誉回復を願って #

おごと温泉には、きちんとした温泉宿も多数存在する。誤解や旧来のイメージばかりが独り歩きするのではなく、本来の魅力がもっと知られてほしい。

そのためにも、筆者としては温泉むすめなどの地域PRが好影響を与えてくれることを期待している。名前だけが先行するのではなく、実体のある魅力が見直される温泉地であってほしい——それが今回の訪問を通じて感じた素直な思いである。