素朴だけど芯のあるラジウム温泉地——三朝温泉(鳥取県三朝町)
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鳥取県東伯郡三朝町にある三朝温泉は、ラジウム含有量が高く、湯治場としての歴史を持つ本格派の温泉地。筆者は日帰りで複数の施設を訪れ、その雰囲気と個性ある湯に触れた。
飲泉と足湯が楽しめる「薬師の湯」 #
「薬師の湯」は入浴施設ではなく、足湯と飲泉所が併設されたスポット。観光客が気軽に立ち寄れる場所として親しまれており、川沿いの景観と相まって、温泉街らしい情緒を味わえる場所だった。
熱すぎて驚いた「株湯」 #
一方、昔ながらの共同湯である「株湯」は強烈な印象を残した。湯が非常に熱く、足先を少し入れただけで「これは無理だ」と感じるほど。だが、地元客らしき人々が平然と肩まで浸かっている姿を見て驚かされた。湯の熱さに慣れた地元文化を垣間見た瞬間だった。
温泉街としての“中間的”な風情 #
三朝温泉の街並みには、観光地としての華やかさと、地元客が週末に利用するリゾート的な側面、その両方が共存しているような独特の雰囲気があった。宿や通りには一定の観光客が見られたものの、どこか落ち着いた空気もあり、喧騒一辺倒ではない絶妙なバランスが取れていた。
また、本来ならば名物である「三朝温泉 河原風呂」にも立ち寄る予定だったが、訪問時は営業しておらず残念だった。とはいえ、この河原風呂は周囲から丸見えの露天温泉として知られ、入浴にはそれなりの覚悟が必要なため、逆に営業していなかったのが“幸い”だったかもしれない。
三朝温泉は、派手さはなくとも、温泉地としての芯の強さと歴史を感じさせる場所だった。熱い湯と静かな町並み、そしてラジウム泉という特色が、訪れる者の記憶にじんわりと残る湯処である。