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浴衣で歩く風情と歴史の温泉街——城崎温泉(兵庫県豊岡市)

関西を代表する温泉地の一つ、城崎温泉。筆者は過去にこの地を訪れ、日帰りで温泉街の魅力を存分に味わった。具体的な訪問日こそ覚えていないが、記憶に残る街並みと雰囲気は今でも色褪せていない。

鴻の湯と瓶コーヒー牛乳の記憶 #

数ある外湯のうち、訪れたのは「鴻の湯」。湯の詳細な感触こそ思い出せないものの、風呂上がりに瓶のコーヒー牛乳を飲んだ記憶が妙に残っている。こうした何気ない体験が、温泉街ならではの風情を感じさせる。

圧巻の温泉街風景 #

城崎温泉の真骨頂は、やはりその街並みにある。柳の木が揺れる川沿いの道に、和風建築の建物が立ち並び、浴衣姿の観光客がそぞろ歩く。JR城崎温泉駅を降りた瞬間から、まさに“温泉街に来た”という感覚に包まれる。

そして何より圧巻なのは、そのスケールだ。川沿いに立ち並ぶお土産屋や飲食店は、数百メートル、時には1 km以上に渡って続く。温泉街としての経済規模の大きさ、観光地としての完成度の高さには思わず唸らされた。

観光地価格と日帰り利用 #

観光地として成熟しているだけあって、飲食店の価格はやや高め。カニなどの海産物が有名だが、日帰りだったこともあり、本格的な食事や宿泊体験までは踏み込まなかった。

とはいえ、城崎温泉といえば浴衣姿で外湯巡りをするのが代名詞とも言える。次に訪れるときは、ぜひ泊まりでじっくりと街を楽しみたいと思わせる魅力があった。

城崎温泉の立ち位置 #

城崎温泉はまさに温泉街の王道であり、関西屈指の温泉地だ。ただし、同じ兵庫県には有馬温泉という強力なライバルが存在する。神戸からのアクセスが良く、日本三古湯の一つとして名高い有馬温泉の存在は大きい。

一方で、城崎温泉も歴史ある温泉地であり、志賀直哉の小説『城の崎にて』にも登場するなど文化的な深みもある。他県にあれば県内随一の温泉街として名を馳せていたであろう実力を持つ。アクセスの面でやや不利ではあるが、それを補って余りある街並みの美しさと雰囲気が、観光客を惹きつけてやまない。

城崎温泉は、まさに「温泉街に行く」ことそのものを楽しむ場所だ。日帰りであってもその魅力は充分に伝わってくるが、次回はぜひ、浴衣を着てそぞろ歩きながら、宿泊込みでその世界観に浸ってみたい。