三重県北部のいなべ市。ここに存在する日帰り温泉施設は、実は『おふろcafé あげき温泉』と『六石温泉 あじさいの湯』の2軒のみである。数は少ないが、この2つは驚くほど対照的だ。
再開発された駅前のモダンな没入空間か、山あいに佇む板張りの静寂か。2軒を比較訪問した視点から、その決定的な違いを記録する。
比較一覧:あなたの目的はどっち? #
| 項目 | おふろcafé あげき温泉 | 六石温泉 あじさいの湯 |
|---|---|---|
| 主な客層 | 若者・サウナー・鉄道旅行者 | 地元客・静かに過ごしたい人 |
| 湯温 | 意識を溶かすぬる湯 | 身体を芯から温める高めの湯 |
| 泉質 | アルカリ性単純泉 | メタケイ酸泉 |
| 脱衣所・内装 | モダン・洒落たカフェ風 | 情緒ある全面板張り |
| 湯上がりの友 | 豊富な瓶牛乳(大内山酪農) | 200円の瓶ラムネ |
あげき温泉:意識を溶かすぬる湯とモダン空間 #

三岐鉄道北勢線の終点・阿下喜駅(あじきえき)から徒歩圏内にあるこの施設は、単なる温泉の枠を超えた滞在型の空間である。
- 魔性のぬる湯: 特筆すべきは内湯のぬる湯だ。体温に近い絶妙な設定で、刺激の少ないアルカリ性単純泉に身を委ねていると、時間の感覚が曖昧になり、文字通り意識が溶けていくような感覚に陥る。
- 信頼の天然温泉: 水風呂を除くすべての浴槽が天然温泉とされており、設備はこの地域では群を抜いて充実している。
- 瓶牛乳の楽園: 湯上がりに冷蔵庫を覗くと、三重県が誇る大内山酪農の瓶牛乳が並ぶ。驚くべきは、瓶入りコーヒー牛乳が2種類もラインナップされている点だ。全国的に瓶飲料が姿を消しつつある今、牛乳好きにはたまらない光景だろう。
あげき温泉の詳細レポートはこちらから。
六石温泉:板張りの情緒と静寂の贅沢 #

一方、山あいにひっそりと佇む六石温泉は、虚飾を排した実直な湯処である。
- 板張りの情緒: 受付から廊下を通じて建屋に踏み入ると、内装は全面板張りとなっている。脱衣所も同様で、小規模な共同浴場というよりは、老舗温泉旅館のような情緒を醸し出しており、良い意味で期待を裏切られる。
- 高めの湯温: 泉質はメタケイ酸泉。源泉温度は低いが、湯船の温度は高めに設定されており、短時間で身体の芯まで熱を届けてくれる。
- 静寂という贅沢: 湯上がり、キリンビールの色褪せたポスターが貼られた静かな休憩所で飲む200円のラムネ。華やかな観光地とは一線を画す、この何もない贅沢こそが、六石温泉の真骨頂といえる。
六石温泉あじさいの湯の詳細レポートはこちらから。
結論:結局、どちらに行くべきか #
- あげき温泉がおすすめな人
- 洒落た空間で半日ほどのんびりしたい。
- サウナ・水風呂・ぬる湯での没入体験を求めている。
- 鉄道旅の途中で立ち寄りたい。
- 六石温泉がおすすめな人
- 混雑を避け、静かな環境で自分と向き合いたい。
- 板張りの脱衣所など、素朴な温泉情緒が好きだ。
- 短時間でさっと身体を温めて帰りたい。
いなべ市の温泉は、この極端な二択を楽しめるのが最大の魅力である。その日の気分や移動手段に合わせて、最適な一軒を選んでほしい。