兵庫県にある、言わずと知れた名湯・有馬温泉(ありまおんせん)。全国的に知名度が高く、日本三古湯のひとつとしても有名だ。筆者も例に漏れず、「温泉地を語るなら一度は訪れておくべき」という思いから足を運んだ。
なお、兵庫県には他にも、浴衣で練り歩く温泉街の情緒がある城崎温泉(きのさきおんせん)や、98℃の高温源泉から湯気が立ち込める湯村温泉(ゆむらおんせん)などがある。私も訪問済みであり、その記事はこちらから。
訪問したのは『金の湯』『銀の湯』 #
有馬温泉を代表する2つの日帰り温泉施設、『金の湯』『銀の湯』を体験した。
『金の湯』はまさに、有馬温泉の定番中の定番である。有馬温泉の象徴ともいえる茶褐色の湯を楽しめる。泉質は含鉄-ナトリウム-塩化物強塩高温泉で、重厚感のある鉄分・塩分を含んだ湯は、まさに有馬らしさを体感できるものだった。ただし、観光地として非常に有名なだけあって混雑しており、入浴中はかなり人が多い。利用者が多いためか、若干の消毒臭が気になった点は惜しいところだ。

一方で『銀の湯』は、同じく公営の日帰り温泉施設ではあるが、こちらは無色透明な湯。泉質としては炭酸泉やラジウム泉に分類され、見た目には地味ながら落ち着いた印象を受ける。観光客も『金の湯』に比べれば少なく、ゆったりと入浴できた。


温泉に色がついていると印象に残りやすいが、実はどんな湯でも湧出直後は無色透明であり、空気に触れることで酸化して色づくものが多い。有色の湯は鮮度がやや落ちている可能性もあるのだ。無色透明だからこそ感じる湯の新鮮さという側面もあり、『銀の湯』での静かなひとときに、そんなことを思った。
観光地としての魅力も強い #
有馬温泉の真価は、湯そのものだけでなく、温泉街の賑わいにもある。歴史ある建物と現代的な店舗が混在し、飲食店や土産物屋などが所狭しと並ぶ温泉街は、規模も活気も日本有数。温泉に入らずとも温泉街を歩くことそのものが観光として成立するほどだ。
温泉街としての成熟度が高く、誰と訪れても何かしら楽しめる懐の深さがある。混雑を覚悟のうえで訪れれば、有馬ならではの魅力を存分に味わえるだろう。
総評 #
有馬温泉は、日本の温泉文化の縮図のような場所だった。温泉街の規模、歴史、湯の個性、すべてが揃っており、温泉地の完成形を体感できる。混雑や消毒臭といったマイナス面がありながらも、それを上回るだけの存在感を持つ名湯である。