滋賀県長浜市にあるあねがわ温泉。いわゆる温泉街が形成されているわけでもなく、観光ガイドで大きく取り上げられることも少ない日帰り専門の温泉施設だ。しかし、関西各地の温泉を巡ってきた中で、気付けば訪問回数は二桁を超え、回数券まで購入するほど気に入っている温泉でもある。
初めて訪れたのは、関西の温泉地を開拓していた際に偶然見つけたのがきっかけだった。正直、事前に大きな期待をしていたわけではない。だが、実際に湯に浸かってみて、この温泉が「通う価値のある場所」だとすぐに分かった。
ナトリウム炭酸水素塩泉がもたらす美肌効果 #
あねがわ温泉の泉質はナトリウム炭酸水素塩泉。湯に入るとすぐに、肌がぬるぬるとする独特の感触を感じる。いわゆる「美肌の湯」と呼ばれるタイプで、入浴後は角質や汚れが落ち、肌がすべすべになる感覚がある。
個人的な印象だが、鈴鹿山脈周辺、関西の山沿いに湧く温泉には、こうした美肌系の泉質が多いように感じている。湯の山温泉や榊原温泉などもその代表例だが、あねがわ温泉も系統としては非常によく似ており、この地域特有の魅力をしっかりと備えている。
内湯中心で、じっくり疲れを癒す #
私がもっぱら気に入っているのは内湯である。露天風呂のように外気で身体が冷えることもなく、湯温は適温。熱すぎて長時間入れない温泉も少なくない中、あねがわ温泉は自然と長湯ができ、身体の芯から疲れが抜けていく。
派手な浴槽構成ではないが、「ゆっくり浸かる」という温泉本来の楽しみ方に最適な環境が整っている。結果として、入浴後の満足感が高く、何度も足を運ぶ理由になっている。
静かで清潔、大人向けの温泉施設 #
館内は新しく、清掃も行き届いており、全体としてとても清潔感がある。静かで落ち着いた雰囲気が保たれている理由の一つが、小学生未満の入店を断っている点だろう。
子ども連れを否定するつもりはないが、どうしても施設の静けさや清潔さは犠牲になりがちだ。その点、あねがわ温泉は「大人が静かに身体を癒す場所」として明確に方向性が定まっており、その姿勢に好感を持っている。
アクセスは良好とは言えないが、それでも行く価値はある #
残念ながら、アクセスしやすいとは言い難い。最寄駅からは距離があり、基本的には自家用車での訪問が前提となる温泉だ。
ただし、北陸から米原方面へ車で移動する途中に立ち寄る場合や、岐阜県・三重県・滋賀県周辺に住んでいる人にとっては、十分に選択肢に入る。観光目的でわざわざ立ち寄る温泉ではないが、日常圏内にあれば、これほど心強い温泉はない。
知名度は低くとも、確かな実力を持つ一湯 #
日帰り温泉施設が一つあるのみで、温泉街としての賑わいはない。知名度も決して高くはないが、美肌系温泉としての質は非常に高く、静かに疲れを癒したい大人にとっては理想的な場所だ。
派手さや観光要素を求める人には向かないかもしれない。しかし、「良い湯に、静かに浸かりたい」と思う人にとって、あねがわ温泉は確実に記憶に残る一湯になるだろう。