三重県いなべ市の『おふろcafé あげき温泉』を訪れた。いなべ市は三重県北部、桑名市の北に位置する地域だ。
あげき温泉の建物は比較的新しく、モダンで洒落た外観をしている。いわゆる昔ながらの温泉施設というより、どこかカフェのような雰囲気も感じさせる造りだ。「おふろcafé」ブランドの統一イメージなのだろう。
昨今のスーパー銭湯のような派手なアトラクションはあげき温泉には無い。しかし、だからこそ味わえる静かな休息がそこにはあった。
施設情報 #
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | おふろcafé あげき温泉 |
| 所在地 | 三重県いなべ市北勢町阿下喜788 |
| 入浴料 | 平日:750円、土日祝:900円 |
| 泉質 | アルカリ性単純泉 |
| 浴槽 | 内湯2、サウナ1、水風呂1、露天風呂1 |
| 営業時間 | 10:00~21:00 |
| 公式サイト | https://inabe-ageki-base.com/onsen/ |
浴場と温泉の特徴 #
意識を溶かす魔性のぬる湯 #

あげき温泉の泉質はアルカリ性単純泉で、色は無色透明である。刺激が少なく、長湯しても疲れにくい。また、水風呂を除くすべての浴槽が天然温泉である。何を当たり前かと思うかもしれないが、温泉施設では実は特定の浴槽は温泉じゃない場合もあり、私自身も初めて訪問する温泉施設や、レビューが少ない温泉施設では、実はこの浴槽は温泉じゃないんじゃないか?と心配しつつ入浴することがある。その点、この施設では、天然温泉と保証されている。また、公式HPでも温泉分析所が公開されているのが、誠実で信頼できるところだろう。

内湯にはあつ湯とぬる湯があるが、特筆すべきは後者の心地よさだろう。絶妙な温度設定のなせる業か、お湯に身を委ねていると、意識がゆっくりと輪郭を失っていく。気がつけば、そのままうたた寝をしてしまっていた。派手さはないが、長く浸かっていたくなる湯だ。
露天に吹く風と小さな開放感 #
サウナや水風呂も備わっているが、露天風呂は三人ほどで満員になる小規模なものだ。しかし、このこぢんまりとしたサイズ感が、かえって落ち着きを与えてくれる。限られた空間で空を眺め、ただ無心に湯を浴びる。そのシンプルさが心地よい。
館内施設 #
あげき温泉のこだわりは、浴場を出た後にも潜んでいた。 自販機には定番のメイトーのコーヒーがあり、私はメイトーコーヒーを頂いたが、冷蔵庫には三重県が誇る大内山酪農の瓶入り牛乳も置かれていた。

さらに驚くべきは、瓶入りのコーヒー牛乳が二種類も並んでいたことだ。全国的に瓶飲料が姿を消しつつある今、このラインナップは極めて珍しく、牛乳好きにはたまらない光景だろう。冷えた瓶を手に取り、一気に喉を鳴らす。これこそが、温泉紀行の完成形だ。
「おふろcafé」という名前の通り、館内でゆっくり過ごせる雰囲気も特徴である。 同じ三重県内の系列施設としては、四日市市の『四日市温泉 おふろcafé 湯守座』もあり、そちらは大衆演劇やイベントが楽しめる施設として知られている。訪問記事はこちらから。

また、玄関入ってすぐ入口には、ちょっとした土産物が並んでいた。そこでは湯の山温泉の土産物である、『湯の花せんべい』が売られていた。あげき温泉のあるいなべ市と、湯の山温泉のある菰野町(こものまち)は隣接しているため、関連した土産物として売られているのだろう。
なお、湯の山温泉の訪問記事はこちらから。
アクセス #
あげき温泉へは、車で訪問した。施設には駐車場があり、訪れた時間帯は特に混雑もなく、空きも十分にあった。
一方で、鉄道でのアクセスも可能だ。最寄りは阿下喜駅で、徒歩圏内にある。ここはローカル線である三岐鉄道北勢線の終着駅だ。
入浴後、ちょうど二両編成の小さな列車が駅に入ってくるのを見かけた。かわいらしい車両で、いかにもローカル線らしい風景だ。
終点駅ということもあり、駅周辺で時間を過ごせる場所としてもありがたい存在だ。また、鉄道ファンであれば、三岐鉄道北勢線の乗りつぶし旅の途中で立ち寄るのも面白いだろう。折り返し列車までの時間に湯に浸かり、次の列車でまた旅を続ける。そんな使い方も、この温泉ならではの楽しみ方かもしれない。
まとめ #
あげき温泉は、内湯二つと小さな露天風呂というシンプルな構成の温泉だ。派手な設備こそないものの、ぬる湯の心地よさは格別で、気がつけば長く浸かってしまう。三人ほどでいっぱいになる露天風呂も、かえって落ち着いた時間を与えてくれる。
湯上がりには瓶のコーヒー牛乳を楽しみ、館内で少し休憩するのも良いだろう。また、近くには三岐鉄道北勢線の終着駅である阿下喜駅もあり、ローカル線の旅の途中に立ち寄る温泉としても面白い。
大きなスーパー銭湯とは違い、静かに湯に浸かる時間を楽しむ場所。そんな素朴な温泉を求めている人には、ちょうどよい一軒だ。